劇団ゲキハロ第11回公演「戦国自衛隊」女性自衛官死守セヨ〜塩田節全開の時空を超えた壮大なる叙事詩〜

大阪で始まったベリキュー合同ライブ、まだ内容は知りませんが、℃-uteブログを読む限りでは終盤がかなり楽しい事になってるみたいで。
いや〜市川が本当に楽しみッス!!大阪の開幕シリーズに参戦したかったのですが、℃-uteツアー以外は基本1ヶ月1遠征マデと勝手に決めたので今回はスルーしました。
そう、今月はゲキハロ千秋楽で大阪に遠征しました。
もう合同紺も始まってしまいましたが、死守の感想まだだったので、このタイミングで書いてみようと思います。

州´・ v ・) リ ・一・リ (o・酈・)<遅い!!

御意。。。


最終日はH列とR列で観ました。シアターBRAVAは前列と重ならないような座席配置になっているので、正面はいいのですが、端の席だと前ともろか振りでかなり見づらかったです。傾斜もあまりないし、あまりいい劇場とは言えませんね。

また、死守は全部で4公演入ったのですが、それまでは6列、10列と比較的前の方で観ていたので気付きませんでしたが、千秋楽のR列は結構遠くて表情があまり観えません。いかに完成度の高い死守でも表情が観えないのはかなり堪える。。
やっぱり劇は近いに越したことはないと思いました。

最終日らしく、役者さん達の気合いも凄かったです。愛理やちっさーは終盤になると、もう泣きっぱなしでした。
つられて客席もすすり泣く音がかなり多く感じました。特にラストでちっさーが小宮、上杉を偲んで歌を歌うシーンは、もう至るところからすすり泣く声がしてきました。
最後の挨拶では、前日の帰還は時間の関係で熊井ちゃんだけでしたが、死守はベリキューメンバー全員が喋りました。
舞ちゃんが「今回初めて役になり切る事ができた」という発言には今まではなんだったの?とちょっとガッカリしてしまいましたが、まぁ、今後は頑張って欲しいなと思いました。
桃はベリキューメンバー一人ずつに触れて、エピソードを話してくれました。何でも桃のこういう内容は定番なんだとか。
やっぱり桃はキチンと考えてるよなと感心しきり。キャプテン、千奈美もしっかりまとめていました。
それに比べると、ちっさーや愛理、特に愛理はもう話し始めると号泣しっ放しで、あまり喋れてませんでした。
ベリのプロ意識の高さに感心してしまいましたが、ちっさーや愛理にとって、今回の作品が改めて大きかったんだなと感じさせてくれました。

愛理は「久しぶりだったけど、塩田さんの本で演技ができて良かった!」と言っていました。
ブログでもとても楽しそうだったし、本当に幸せな時間を過ごしたんだなって感じました。

そして、我々℃ヲタも久々に塩田さんの本を味わうことができて本当に楽しかった(ここのところベリーズの作品には参加しているし、実際自分も観劇していますが、やっぱり℃-uteメンバーが出演するのとしないのとでは観る時の気合いが違います。)



それにしても、今回の作品も塩田さんテイストが随所にちりばめられていてさすがだなと感じるところが多々ありました。
まずは何と言っても、時間と空間の使い方です。
塩田さんは、時系列を組み替えて、未来の結果を先に見せることで、過去の出来事をより面白く見せる方法をしばしば使います。寝るキューで司ちゃんが夏美ちゃんと出会ったシーンなんかもそうです。
今回は無線で八十重(横山一敏)が景虎(斉藤佑介)に「仲間が一人死にました。。」という衝撃的な告白から、過去に遡るという何ともスリリングな展開は、手に汗を握りました。
さらに空間の交錯です。サンクユベリーベリーでは丸富と弁天という全く別の高校でのお話を一つの空間で微妙に交錯させてうまく表現していましたが、今回は同じ場所で時空が交錯するという何ともファンタスティックでドラマティックな趣向を凝らしています。

物語もクライマックス、山姥洞で、消えた上杉達を懸命に探す2011年の浅間3曹(和泉宗兵)と戦国時代の上杉(清水佐紀)がお互いを想い合って、そして一瞬交錯するシーンは涙無しには観ることができない、この作品のハイライトの一つです。

実は上杉は景虎と絶姫(萩原舞)の遠い子孫で、物語の前半でのちょっとした思わせぶりが実は物語の核心に繋がっていくという、仕込みはあたかもワンピースのようです!
こういう前半の仕込みが後半一気に繋がっていく手法こそ、ドラマを面白くするんだと思います。
この辺も帰還に比べて死守が圧倒的に支持される要因なのでしょうね。

細かいところでは、微妙に帰還とリンクしているのも面白かったですね。
若月(鈴木愛理)ら女自衛官につぶらが救われたと知った時、山姥一族の不動(中川素州)は「つぶらを二度までも助けてくれて」という台詞がありますが、これは帰還セヨで、知里(熊井友理奈)が、娘にと、食料を分け与えたシーンとリンクしています。

更に、これはリンクさせたのかどうか怪しいですが、帰還で真耶(須藤茉麻)が「歴史には修正能力がある」と微妙な台詞を吐いていましたが、死守のラストで若月が「我々が歴史を修正する!私が長尾景虎になってこの国の戦争を終わらせる!」と言っています。

と、細かな趣向も楽しみの一つです。



ただ、どうしても繋がらなかった事が一つだけあります。
物語の核でもある、景虎と絶姫の子孫が上杉という話し。この中で上杉は、景虎はおじいさんに似ていたと言っています。一方の絶姫はおばあさんに似ていたと言っています。

おかしくないですか?

つまり、景虎の血縁と絶姫の血縁は、上杉の祖父と祖母の代で初めて出会う訳です。
これがもし、おじいちゃんとおばあちゃんというのが兄妹(姉弟?)を指しているのなら矛盾しない訳ですが、もしくは遠い子孫が一つだった、祖父と祖母が結婚したということも可能性としてはありますが、いずれにしても、おじいちゃんとおばあちゃんを似せてしまうと、景虎と絶姫は、あの代で結ばれている必要はないのですが。。。

ま、これは私の戯言です(^_^;)



オトムギ作品の素晴らしいところは、塩田さんの本だけではありません。実は寝るキューで今でも強く印象に残っているのは、あの胸に沁みるBGMとステージを彩ったカクテル光線なんです。
今回はBGMの種類は少なかったですが、あの緊迫感あるBGMをオープニングからとても効果的に使っていたなって思います。

でも、塩田さんらしさが一番出ていたなと思うところは、やっぱりベリキューメンの扱い。
塩田さんは本当にこの子達をリスペクトしてくれていて、配役や演出でも随所にそれを感じます。
特に印象的だったのが、「戦争は知らない」を歌うシーンです。やはり歌手でもある彼女達の最も得意なところ。それを物語の核として据えてくれました。しかもちっさー、愛理、桃と恐らくこのチームで最も歌の上手い3人を起用する絶妙なキャスティング。
愛理と桃のハモりも絶品だったし、最後のちっさーの独唱は、本当にちっさーの歌声の素晴らしさがでていたと思います。

劇中の小ネタも健在でした。今回は戸部(並木秀介)が魚を釣って、それをつぶら(岡井千聖)が「魚が宙を浮いてる!」と絡むシーンで微妙にベリキューのダンスを入れています。
自分は4公演見て、東京では雄叫びボーイ、そして最終日はJUMPと愛もてでしたww

演技について

個々の演技についても少し触れていこうと思います。
先にも少し触れましたが、キャスティングについていえば、℃-uteヲタとしては、本当に素晴らしい役を頂いたと思います。


まずは愛理。昨年のミュージカル、リリ役以降、今年は「携帯彼女」「ゴメンナサイ」(あ、観てないけどヴァンパイアもね)等常に主役を務めてきました。
が、どうもイマイチ感たっぷりな演技でした。まぁ、役柄がそうなのかもしれませんが、別に誰がやってもいいんじゃね?的な、どうも演技に個性がない。加えて愛理のウィークポイントでもある滑舌がどうにも悪過ぎる。。

しかし、この死守せよの主人公若月陸曹長は本当に熱演と言っていい演技でした。
確かに滑舌は気になりましたが、それでもだいぶ改善されていたように思います。そして陸曹長という立場上の威厳や凛々しさも良く出ていました。愛理って実は物凄く目力がある子なので、こういう役は実はあっていると思います。
かと思えば時折見せる気の抜けたような仕草は巣の愛理っぽくてカワイイww
こういう凛々しい役、普通の脚本家さんだったら絶対愛理にぶつけてこないと思うし、この辺は塩田さんが愛理の良さをうまく引き出してくれているなって思いました。
最後の殺陣は、舞美嬢を意識したかなww太刀振舞いまだまだってのが正直なところですが、表情や台詞は中々のもの、本当カッコ良かったと思います。愛理をカッコイイって思ったのは実は初めてかも!!

愛理もとても苦労したと思いますが、何か一つ壁を越えられたんじゃないかなって思います。実際愛理も演じてい物凄く楽しかったんじゃないかなと思います。




つぶらを演じたちっさーもやっぱり滑舌に難がありました。台詞も一辺倒、正直他の共演者との力の差を否応なしに感じさせられました。
それでもちっさーらしい元気さやいい加減さww、やっぱり観ていて楽しい気持ちにさせてくれるのはこの子の持つ才能なんでしょうね。
後は何と言ってもあのラストで小宮と上杉を偲んだあの歌。劇場を感動で包んだあの歌声は、本当に宝物だと思います。
ちっさーの最大の魅力を引き出してくれて、これも塩田さんには感謝感謝です<(_ _)>
ま、歌で帳尻合わせた部分はありますが、演技に関してはまだまだ向上の余地があると思います。ガンバレちっさー!!




絶姫という、物語の中核を担うキャラクターを演じたマイマイですが。。。
う〜ん。。。完全に力不足。。
特にシリアスなシーンで笑ってしまったり、噛んだり。。。今まではそれでも良しとしていたところはあるけど、今回同期のベリーズの演技を観て、これじゃいかんと思いました。
美形だし、姫としてのオーラは決してりーちゃんにも負けていないと思います。その点でこれは絶妙のキャスティングだったと思うんですが。。ま、舞ちゃんも「初めて役になり切れた」と言っていたし、今後に期待したいと思います。



続いてBerryz工房、まずは小宮を演じた桃。
仔犬ダンの時からこの子の演技、実はかなり好きだったりします。サンクユーベリーベリーでも難役の小西を本当に熱演していました。
今回は天使だとか天女だとか随所に嗣永桃子節も炸裂させていましたが、一転、八十重に対して銃を向けるシーンや最期のシーン、決してオーバーアクションではないけど、喜怒哀楽を見事に演じ分けていました。
今回の役柄上からか、周りの人の感想を聞いても、桃についての意見はあまり聞かれなかったのですが、個人的には演技の安定感は群を抜いていたと思います。



最大の驚きだったのが、河合演じた千奈美。あの気風の良さは千奈美のキャラにうまくマッチしたのかもしれませんが、それにしても素晴らしいの一言に尽きるハマりっぷりでした。正直、ああいう役だし誰でもできんじゃん!って最初は℃ヲタとして斜に構えて見ていた部分もあったのですが、何の何の、そのテンポの良さには心地良さすら覚えました。
これは死守のベリメンに共通して言えるのですが、非常に声も通っていて、しかも殆ど噛まない。これがテンポの良さと安定感を生んでいるんだと思います。

八十重を演じた横山さんに「まあ、兎に角、俺的には、河合との関係が何とも言えねー!良い!」と言わしめるくらい、河合と八十重の関係は物語の見所だし、最後の対決シーンとか本当カッコ良かった。
あの舞台度胸、ひょっとしたらこれは、全員主役を務めた三億円少女の賜物なのかもしれないなと思いました。



ラストは、上杉2士のキャプテン。
最後に持ってくるくらいだから。。ええ、そうです!!今回の帰還、死守を合わせたMVPはキャプテンでしょう。
「はいバカです!」と笑いをとる演技から、最後の命を輝かせた山姥洞でのやり取り、そして壮絶な最期。。
もうパーフェクトです。キャプテンを観ればこの作品の全体像が観えてしまう、それくらいの要となるキャラを非常に透明感溢れる演技で熱演していました。
自分は観れなかったのですが、三億円少女で誰の主役が一番良かった?という質問に10人中7、8人がキャプテンを挙げた理由が分かりました。
本当に素晴らしかった。

泣き事を申すな!!

塩田さんは最後の挨拶でベリキューメンバーを2人も殺してしまった事を謝っていましたww
確かに今回の作品、自分がこれまで観てきた塩田さんの作品からは想像もできない悲惨さや荒々しさ、非常に男性的な印象を受けました。

この作品を初めて観た時、その内容を噛みしめると、一人の俳優と、ある一言から、ある作品が思い浮かびました。

舞美嬢が主演を務めた「らん」です。

一人の俳優というのは、言うまでもなく横山一敏さんです。

らんでも槍の名人として迫力ある太刀回りをしていた彼ですが、今回もまたらんの石影を彷彿とさせる役。
それもそのはず。パンフレットにも書いてありましたが、塩田さんは、「あの時の役でいいんです」と言ったそうですww
そしてもう一つは、小宮を巡る誤解から、若月と景虎がついに全面対決に突入しようとする時、ハメた張本人である不動を殺しておけば良かった、と後悔する八十重に対して、「泣きごとを申すな!」と言い放ちます。

この台詞、実は、らんにも登場します。
己の信念を曲げてらんを斬ってしまったことを後悔する正太郎に対して、らんは最期に「泣き事を言うくらいなら、始めから荷車なんか押すな!」と言い放ちます。

その後、この事を一生後悔し続けて、乞食のようになってしまった正太郎。
そこには、らん全編を通して描かれている「信念を曲げるな!」というテーマが端的に描かれているシーンだと思います。

翻って、今回の死守セヨです。

小宮は死に際に言いました。「争いからは何も生まれない」
にもかかわらず、若月は景虎と戦い、仲間を二人も失ってしまいました。
もし、女性が本を書いていれば、あるいは小宮のこの台詞をテーマとして扱っていたのかもしれません。

でも、塩田さんはそうはしませんでした。

物語のラストで、これで良かったのか?とうなだれる若月に対して河合は小宮が言った事を思い出してと言います。

若月は「争いからは何も生まれない。。」と泣きながら反芻します。

そして、河合は続けます。「その後何て言った?」


「強く、美しく生きて。。」


そして最後は、自らの使命「戦争を終わらせる」という信念を通す為、敢えて争いに身を投じるというところで物語は結ばれます。

つまり、この作品で言いたかった事、それはやはり「信念を曲げるな!」ということなんじゃないかと思います。

いずれにしても、塩田さんはご自身のブログでも語っていたように「らん」に深く感銘を受けていました。

この結末が少なからず「らん」の影響を受けたものなのではないか?
と考えてしまいました。


ま、これはいち℃-uteヲタの感想ですからww
それにしても、死守については本当に語りがいがあります。観劇した人達と飲む度に凄く盛り上がりましたww
できれば、もっと沢山の人とこの作品について語りたいものですね。


何回も書いていますが、まずは素晴らしい役と本をくれた塩田さん、そしてベリキューを内外から盛り上げてくれた役者さん達やスタッフさん達に感謝の気持ちでいっぱいです。

この作品は愛理、ちっさー、舞ちゃんにとっても大きな財産になったろうなぁ!!
千穐楽千聖
死守しぇよ!(あいり)
千秋楽
懐かしい






やっぱり塩田作品、オトムギ作品っていいなって思いました。

12月から始まる「1974」も本当に楽しみです。