サンクユーベリーベリー〜We Are Berryz工房〜

20(日)夜公演に入ってきました。今回は出演者一つとっても℃ヲタの心をくすぐります。ルーム長役の池田さん、バカヒロ役の中神さん、駐在役の並木さんに加えて、携帯小説家やあたるも八卦で重鎮として℃-uteと共に劇を盛り上げてくれたあいざわ元気さんというある意味オールスター的な構成。
これに加えて塩田さんの本への信頼も合って、それなりに楽しい劇になるんじゃないかなという予感はありました。それなりというのは自分が見た過去2回のBerryz工房ゲキハロが微妙だったこと。まぁ悪くはないけど、カネ払ってまでは・・・という内容だったからです。
今回はBerryz工房のメンバーが2つにの高校に分かれて全国女子高校合唱コンクール大会「あの子が歌うのを見たんだ!」(略して「アノコウタ」)で対決するのがメインとなるストーリー。
それにしても、運動部と文化部とかBerryz工房同士とか、Berryz工房は分かれて対決すんの好きだよなぁ(^_^;)

当然パンフレットとかも対決の図式が載ってる訳で。そういえば自分も昔作ったっけww何かやりたくなりますな。

あなたの体はどこですか?(^。^;;

対決って図式は単純に盛り上げるにはうってつけだし、基本的にはメンバーの半分しか登場しないから、一人一人にスポットライトが当たる確率は高くなりますが、メンバー全員が絡んでいくダイナミズムってのが失われるという欠点もあります。
℃-uteの劇が面白いのは正に全員がどんどん絡んでいくから。今回の劇でもBerryz工房として揃うのは最後のシーンだけで、基本は2本(2つの高校)のストーリーがパラレルで展開していくという構成でした。
客席にコールアンドレスポンスしたり、客席に降りてお客をいじったりというのもBerryz工房らしい。会場一体となってという表現もできますが、劇を、ストーリーを楽しみたい自分にはハッキリ言ってマイナスです。

前半のコンクール準決勝も、弁天のエースりしゃこが突っ走ったり、落ちこぼれ高校丸富の3人(みやびちゃん、千奈美さん、熊井ちゃん)が悪態付きまくったりと、おおよそストーリーはメチャクチャで全然面白くない。

と、負の要素はこの辺で。実はこの劇めちゃくちゃいい劇なんです!

7人が主人公

やっぱり塩田さんは塩田さん、彼の脚本や演出のパワーは素晴らしかった。
まずはそのキャスティング。劣等生高校の3人、みやびちゃん、千奈美さん、熊井ちゃんに優等生高校のりしゃこ、キャプテン、マーサさん。この配置は絶妙。工房さんを深くは知らない自分でも、メンバーの持つ個性とキャラクターがピタリと一致していると感じました。友理奈さんの悪態、ビビりいなみやびちゃん、キャプテンの超マジメっぷり、そしてりしゃこの妹キャラ全開なとこ、すべてハマり役って感じ。
中でも存在感を放っていたのがマーサさん。自分の印象では、この娘ゲキハロでは舞回結構印象的な役を務めていますが、今回は学ラン姿で男顔負の空手家役の服部葉子。これもマーサさんのキャラとバッチリか。
ただパンパンだった頃からは随分とスリムになって、サラっとした黒髪を下ろした学ラン姿の出で立ちは、中々の美少女っぷりでした!
そのマーサさんが羽織っていた学ランを脱いで、白いボディコン(一応さらしという設定なのでしょうが)になった時は客席は大いに沸きます。「つまらぬ物を切ってしまった」「クローズ!」とかセリフもイチイチカッコいいww

中盤はそれぞれの高校での今、そして過去が複雑に交錯します。時間軸をうまく使うのも塩田さんならでは。あの夏美ちゃんのワンシーンを思い出します(;つД`)
特に丸富高校の悪たれ3人衆の結成秘話は、かなり笑えました。
自分が見た過去2回のゲキハロでは完璧に消えていたみやびちゃんがこの劇では生き生きとしていたのも印象的でした。
オープニングの「あびこ(みやびちゃん扮する安彦 玲から)ビーム!」に始まり、コンテストのコメントでも「私たち歌詞の意味なんて考えてないから!」に始まり審査員の元気さん扮する門川こうに対しては、「うっさい!お前とか呼ぶんじゃない!」と悪態付いたり、合唱前には超ビビりなとこを覗かせたり。相変わらずのバカキャラ全開でしたが、何だか楽しそうでした。

そして二つの高校をつなぐ嗣氏の存在感は凄い。あの仔犬ダン以来、この娘は根っからの役者だと思う。貧乏キャラというある意味ハマり役(?)で、あたかも現代版マッチ売りの少女の如く、グイグイと観客を惹きつけていきました。

これらの個性的なキャラクターが本当渦をなすようにどんどんどんどん絡んでいく。正に塩田さんの真骨頂。ただ残念なのは、最初にも書いたように、基本2つの高校がパラで演技をしているので、全員が絡むという事はほとんどなかった事。
それでも、自分が見たBerryz工房の過去2作品って、かわいそうなくらい主役とそれ以外に線引がされてましたが、今回は全員が主人公、とまでは言わないまでも、それぞれに見せ場、存在意義があったと思います。

塩田さんのセリフ

塩田さんの魅力の一つは瑞々しいセリフ。今回も「輝く場所へ行ってきな」「眞佳(嗣氏の役名「まなか」と読むらしい)という名前は真中に立ってこそ似合う」とか、そしてクライマックスとなる弁天高校でりしゃこ扮する長雲学子(「ながぐもさとこ」と読むらしい)が、父親の転勤にともない学校を辞めてしまったキャプテン扮する水島果菜に思いを馳せ、思い出の曲に固執するシーンで、
#以下、正確なセリフは忘れてしまいましたが、ニュアンスはこんな感じ・・
「合唱のいいところは、一つの音が終わっても、次の音の誕生を予感できること」(眞佳)
「時間を止めちゃいけないと思う。」(眞佳)
「わたしどうしたかったのか分かった。時間を止めたかったんだ!」(学子)

これらのセリフが、これまたオトムギらしい包み込むような優しいBGM、そして光、とりわけ、寝るキューでも司のナレーションと共に号泣へと誘った、青いカクテル光線、これらが一つになって、心をつき動かします。

2つのBerryz工房の色

塩田さんの脚本に工房さんメンバーも最大限の努力で応えたと思います。その事を最も感じられたのが、メインとなる合唱シーン。丸富高校と弁天高校には劣等生VS優等生というキャラクターと同じくらい合唱そのものにも色がありました。丸富はハモり、弁天はユニゾン。特に丸富の合唱シーン以外でのお遊びで、何気なくのハモりなのに、かなりキレイにハモっててかなりビビりました。一方ユニゾンチームは、これはりしゃこさんのパワーヴォイスに尽きる。演技と共に存在感十分な歌声でした。

クライマックス

いよいよ決勝。先行の丸富が先生が死んだと勘違いして、これまでになく歌詞の意味を噛みしめて合唱に臨む。と、死んだはずのセンセイが3人の前に!感動した先生は「お前ら!」
すると3人は「お前らじゃない!!!」とスローモーションでみやびちゃん、千奈美さんがパンチを浴びせて、とどめは熊井ちゃんの迫力満点のラリアートが炸裂wwww
そのまま退場してしまいますwwwもう大爆笑が沸き起こりますが、このシーン、寝るキューで長さんと夏美ちゃんを会わせる為に、℃-uteメンバーが活躍したシーンとちょっとだけオーバーラップしてしまいました。こういう小ネタもオトムギならではかな。

そしてストーリーはクライマックス。学子が果菜や皆の事を思い書き下ろした曲、「Thank You Very Very」の合唱が始まります。
紆余曲折を経てメンバーとなった眞佳に葉子。
と、そこに上海にいるはずの、果菜の姿が!
果菜にも歌うように勧める3人。当然メンバー以外が歌うのはルール違反という運営サイド。ここで「そんなの関係ない。みんなで歌おう!」門川も頷く。

それを合図に、丸富の3人も一緒になって、そうBerryz工房で「Thank You Very Very」を歌います。
このシーンは「今回の話はここまで」という今日花(熊井ちゃん)のセリフで終幕します。
最後は、メンバーが一人ずつ、隣のメンバーに手を差し出して、メンバーの紹介。

実は、最初の何公演かは「こうしてBerryz工房になった」的なセリフがあったそうですが、それはカットされたそうです。この修正は大賛成です。

同じような名シーン、寝るキューでもありましたね。来夏のお父さんの別荘で、夜通しの復旧作業の後、全員寝過して朝を迎える。
そこでノリマツとイシゾーが語った夢、そして「わたしたちの組まない?」という問いかけに「組む!」と応えたメンバー。
℃-ute結成のアナザーストーリー的な演出に涙なしではみれませんでした。
ちなみにこの朝の話から、続編「真冬の寝る子はキュート」へと繋がっていった話はあまりのも有名ですが。
でも、あそこにいたのは℃-uteが演じた7人であって、℃-uteではない。

そして今回も。これは、どこかにいそうな、でも、「ここにしかいない七人」。
それをBerryz工房とオーバーラップさせるのは観客の想像の中だけでいい。

いずれにしても、Berryz工房ヲタにとっては、℃ヲタにとっての、寝るキューのあのシーンがそうであったように、
We Are Berryz工房!という叫びが聞こえてくるようなシーンではなかったかと思います。

総括

やっぱり℃-uteヲタとしては寝るキューとの比較で観てしまいましたが、塩田さんらしい、オトムギらしいいい劇だったと思います。池田さんの熱演は相変わらずだし、中神さんは、今回もおちゃらけ役でしたが、最後にいいとこ持って行きました。並木さん扮する六日坊主はある意味今回の劇の主人公では、ってくらいの存在感を放ってました。本当名脇役、そして塩田さん必殺のヲタ目線の脚本に支えられて、Berryz工房ヲタにとって、℃ヲタにとっての寝るキューのような、素晴らしい贈り物になったんじゃないかと思います。
公演後は、塩田さんに「今回も楽しい劇、ありがとうございました!」とお礼を言ってきました。
そして、いつも通り腰低く「そんなありがとうございました!」と返してくれる塩田さんでしたww


どこかにありそうな、ここにしかない物語
どこかにいそうな、ここにしかない七人


このさわやかな感動は、あそこサンシャイン劇場と大阪サンケイホールでしか味わえません。

℃-uteヲタでも最低1回、Berryz工房ヲタなら最低5回は見るべき、そう思わせてくれる劇でした。

自分も機会があれば、もう1回くらいは観たかったなぁ。