この時代の名を”パッキャオ”と呼ぶ

決して大げさな話ではありません。

11月14日WBCスーパーウェルター級王座決定戦でフィリピンのマニー・パッキャオが、元WBAウェルター級王者アントニオ・マルガリートを3-0と大差の判定で下して、オスカー・デラホーヤ以来となる史上2人目の6階級制覇を達成しました。
パッキャオが6階級制覇

おなじアジアのボクサーの偉業をとても誇らしく思います。
6階級制覇だけでも歴史的偉業と呼べますが、パッキャオのすごいところはウエイトの増減幅。Sフェザーからミドルまで制覇したデラホーヤが13キロなのに対して、フライからSウェルターを制したパッキャオは何と19キロ。
この間には10階級存在し、実質10階級制覇と言われることからも、いかにパッキャオの6階級制覇がボクシング史を転覆させるような出来事であるかが分かります。

しかしパッキャオの何よりの魅力はそのファイトの中身にあります。この日は契約ウェートが150ポンド(68.04キロ)リミット(Sウエルターのリミットは69.85キロ)で行われましたが、マルガリートがリミットいっぱいなのに対して、パッキャオは144.6ポンドとウエルターサイズに仕上げてきました。
ここら辺がフライ級出身のパッキャオの体格的限界だと思いました。リングに対峙した二人を身比べると、マルガリートの方が明らかに一回り大きく、大人と子供、とまでは言わないまでも、体格差は明らかでした。

しかし現在のボクシングのトレンドはパワーでもスタミナでもなくスピードです。数年前までウエルター最強と呼ばれていて、そのタフネスさはデラホーヤメイウェザーも対戦を避けたという実力者マルガリートに対して、圧倒的なフットワークを駆使して面白いようにパンチをヒットさせます。
パンチも当てにいってポイントを稼ぐ、ではなくあれだけの体格差があるにも関わらず、倒しに行くという感じでラッシュを見舞います。スピードと共にこの闘士のようなスピリッツこそが彼の最大の魅力です。
この姿勢は守勢の時も現れます。彼はロープ際に追い込まれてもほとんどクリンチを使いません。クリンチ合戦ほどくだらない試合はありませんが、彼はそれと正反対にロープ際に追い詰められても、あくまでフットワークや拳で活路を見つけ、事実開いていきます。
結果は終始マルガリートを圧倒し続けて、3-0の圧勝。
彼はここ2試合KO勝利がなく、これはウエイトの壁によると考えることもできますが、マルガリートにしてもその前の相手クロッティにしても、殆ど倒れないタフネスで知られるボクサー達。故に多くのチャンピオンが対戦を避けたがる訳ですが、パッキャオは相手を選ばずとにかく強い相手とマッチアップしていきます。

本当、年末に15位の相手とタイトルマッチをやってしかも○○祭りとバカ騒ぎしている某陣営、いやそれ以上にそんな輩を持て囃してるアフォ―なTV局さんも、この姿勢、もっと見習って欲しいですな(^_^;)

これだけ強く、しかも名声を手にしながらも、彼は全く奢らず常に相手をリスペクトし続けます。
しかも母国フィリピンの為にと、今年政界にも身を投じています。40歳で大統領になるのではないか、と一部メディアでジョークのように囁かれていますが、あながちジョークとも思えない、それほどのカリスマと人間性を彼は持ち合わせていると思います。

いずれにしても、私の中では、故アイルトン・セナと並ぶ現代の最高のヒーローの一人です。


今回のタイトルは、勿論ポートガス・D・エースの名言「この時代の名が白ひげだ!」に由来しますww
パッキャオの偉業はニューゲートのそれに匹敵するw

そんな彼に敬意を表して、改めて、

「この時代の名がパッキャオだ!!」

少なくともボクシング界において、そう叫ばれる日がそう遠くない未来に訪れるのではないかと思います。