3週間の夢物語〜ユーロ2008を振り返る〜

ユーロが終了してはや一週間、今週は色々な局が総集編的に振り返ってました。日曜のWOWOWの総集編を持ってユーロ放送も終わってしまうのかと思うと、ちと名残惜しいのですが、このWOWOWのおかげでユーロを存分に楽しめたと思います。地上波で放映権を持っていたTBSもちょっとだけ見ていたのですが、ひたすらやかましいアナウンサー&全く解説を放棄してミーハーと化してる解説者に絶句していまいました。。。いや〜相変わらずTBSのスポーツ中継は酷いと思いながら、WOWOWで見れて本当に良かったと、しみじみと思ってました。

自分も総集編的に今大会を少しだけ振り返りたいと思います。
まずは決勝戦ですが、ドイツは本調子ではなかったようですが、前半の猛攻はさすがドイツと思わせるものでした。ドイツ、イタリアのようなチャンピオンチームとオランダ、イングランドのような強国の差、それは最終的には気持の差なんだと思う。WOWOWで唯一?
な解説者中西哲生氏は「精神論は好きじゃないんですが」とさも理論派ぶってましたが、これだけ技術の拮抗して、且つギリギリの戦いを強いられるトーナメントで、最後に勝敗を分けるのは精神力なんだと思います。それは今大会のトルコやロシアが証明してくれたと思います。
スペインもトーナメントで勝てなかったのは正にこのメンタル(まぁ、技術的にも劣っていたと思いますが)面に問題があったと思います。ところが今回のスペインはタフでした。決勝でも調子の出ない時間をグッと堪えて、そこから反撃の機を伺うというこれまでのスペインらしくない戦いをしていました。自分はスペイン優勝をほぼ確信したのは、準々決勝のイタリア戦、あのイタリア相手に0-0というスコアで試合を終えられるというのはこれまでのスペインでは考えられませんでした。あのイタリア戦での勝利は44年振りという歴史的付加価値もさることながら、若いスペイン代表にとって、大きな自信になったと思います。
そして前半32分歓喜の瞬間が訪れます。ビジャの欠場によって1トップ、その後方にクワトロ・フゴーネスを並べるという、ある意味スペインのベスト布陣となったことで、水を得た魚のように精力的に動き回っていたフェルナンド・トーレス。シャビの縦パスに鋭く反応するも世界屈指のドイツCBコンビに挟まれダメか?と思った刹那、一気に加速してDFを置き去りにするトーレス。さらに飛び出すキーパーを冷静にかわして、ゴール左隅に流し込みました。
WOWOWの柄沢アナが「速さ、上手さ、強さを見せました!」というセリフは今大会のスペインそのもののような気がします。
いずれにしてもこのトーレスのゴールは圧巻でした。あの88年大会のファンバステンが決勝で決めたゴールほど美しくはないですが、衝撃度はそれに匹敵するものでした。
その後もお互いがっぷり四つに組んだ見ごたえ十分の攻防が続きましたが、スペインが見事に逃げ切りました。
今大会で魅せたスペインの華麗なパスサッカーは絶賛されました。かつてクライフ氏が言った「美しく勝て!」を見事に実践しました。4年前、徹底的な堅守で栄冠を勝ち取ったギリシャオットー・レーハーゲル監督は「勝つことがモダン」と、タレントを揃えて華麗なサッカーを標榜したチームへ強烈な皮肉とも取れる発言をしました。同時に勝つことと美しいサッカーは相反する命題なのか?と大きなジレンマを抱えたサッカー関係者やファンも大勢いたことと思います。
今回のスペインの勝利は、そんなジレンマを吹っ飛ばしてくれる、本当胸のスカッとする・・・
ノノl∂_∂'ル<胸騒ぎスカーレット♪
・・・
映画のようなエンディングでした。
そしてサッカーのスタイルも然ることながら、今回のスペインが良いチームだなと思わせるのは、ベンチも含めたチームワークというか、とてもムードが良かったこと。よく言われるように、スペインは、複雑な民族問題や政治的事情により、クラブに重きが置かれ、代表はバラバラというのが常でした。それが今大会、ゴール一つをあげる度にピッチ上とベンチが一つになって喜ぶ姿はちょっとした驚きでもありました。
ただここ数シーズン確かにスペインサッカー界の雰囲気が変わってきたような気はしていました。例えば世界一のクラシコ、レアル-バルサ戦で、レアルサポが敵チームのロナウジーニョやメッシにスタンディングオペーションで迎えるといったような光景が見られました(もっともこれは不甲斐無いレアル選手への当てつけという意味合いもあるのでしょうが)。さらに昨シーズンリーガ開幕直後に起こった悲劇、すなわちセビージャのプエルタ選手の試合中に意識不明になり、そのまま帰らぬ人となってしまった出来事がありました。この時セビージャサポーターは元より、世界一仲が悪いとも称される多くのベティスサポーターまでもがプエルタ選手が入院していた病院に訪れました。これは一つの美談として取り上げられていましたが、確かにスペインサッカー界が良い方向に向いているな、と感じさせれれる事件でした。
加えて、シャビ、イニエスタ、セスク、S・ラモスら優秀な選手を次々に輩出するカンテラ制度。今回の優勝はそんなバックボーンも含めたスペインサッカー界の勝利なんだと思います。

今回自分が印象に残った選手を3人上げるとすれば、まずはクロアチアルカ・モドリッチ。噂に違わぬ上手さだけでなく、司令塔からボランチまでこなす柔軟さや戦術眼など、本当ハイパーな選手でした。優勝したスペインからはシルバ。パス主体のスペイン代表にあって、彼の小気味のいいドリブルはいいアクセントになってました。90分で衰えないスタミナも素晴らしかった。
そして、ロシアンエクスプレスことアルシャビン。今大会最大の発見と各方面で絶賛されているように、彼の縦横無尽の高速ドリブルは圧巻でした。
同じようにかつて大会に旋風を巻き起こしたドリブラーデンマークブライアン・ラウドルップ(92年大会)やチェコカレル・ポボルスキー(96年大会)はその後、ミランマンUというビッククラブに移籍しましたが、思うように活躍できませんでした。
アルシャビンもビッククラブからオファーが届いているようですが、ネームバリューではなく、自分のプレースタイルに合ったチームを選んで欲しいと思います。

最後にオランダ。グループリーグで見せたサッカーは間違いなく今大会No.1。同じようなサッカーをしていれば優勝していたと思います。ただ大会中ずっとピークを保ち続けることは実質不可能であり、オランダの場合、死のグループと言われたCグループに属してしまった為、開幕戦からトップギアで入らざるをえない不運がありました。
ただ、オランダの展開したサッカーが素晴らしかったことに変わりはないので、次のワールドカップではぜひともひと回り大きくなったオランダ代表が見たいと思います。

本当に楽しい大会でした。最後はWOWOW総集編で激闘と寝不足の3週間を改めて振り返りたいと思います。

从・ゥ・从<サッカー一生懸命書くと、本当に℃-uteネタが出てこないのね・・・
御意・・・