グレイトルーザー

ベガスで一人のボクサーが散った。。
西岡利晃
スーパーバンタム級で日本人初の名誉チャンピオンにまで登りつめた、恐らく初めてと言ってもいい世界規格のボクサーでした。

自分はWOWOWに加入した数年前からボクシングを観るようになりました。
それまでと言えば、辰吉や薬師寺、畑山等日本のマスコミが報道していた日本人の人気ボクサーしかしりませんでしたが、タイトル戦ともなると外国人相手にマンガのような激しいボクシングをするでもなく、クリンチの応酬、疑惑の判定、およそ自分の描いていたボクシングとは違う試合内容に、これが本当のボクシングなんだろうなって思いました。

ところが、WOWOWエキサイトマッチという番組でOAされる試合は毎試合激しい打ち合いにKOシーンの応酬!!
これだよ!!ボクシングって超面白いじゃん!!

以来、そこまで熱心ではないですが、世界のボクシングというものを目の当たりにしてきました。
数年前まで世界規格で語られるボクサーといえばバンタムでV10を達成した長谷川くらい。

確かに長谷川は強かったと思います。だけどそれは日本の歴代チャンピオンと比べての話。
防衛戦も殆ど日本だったし、相手もそこまで一流の相手はいなかったと記憶しています。
長谷川のバンタムラストマッチとなったモンティエルは世界規格の強敵でしたが、結果は4回TKO負け。

ちなみにマスコミでチヤホヤされている日本人初の3階級王者、亀田は論外。
どこで見つけてきたんだって二桁ランカーばかりとタイトルマッチ、たまに一桁とやったかと思うとブランクが1年以上あるロートル
挙句、義務づけられている指名試合は逃げまくり。
チャンピオンでありながら世界の目からは全く蚊帳の外の、まぁ、いわゆるマスゴミに作り上げられたチャンピオンって感じですね。

そんな中、西岡というボクサーを数年前に知りました。
未だに日本ボクシング界の快挙と言われている24年振りの敵地防衛。場所はボクシング王国メキシコなら対戦相手も、世界的名手(現WBOフェザー級チャンピオン)ジョニー・ゴンサレス

32歳でチャンピオンとなった西岡にはマスコミもそこまで注目していなかったんだと思います。
日本でスター待遇のチャンピオンならこんな不利なマッチメイクは絶対しないでしょうから。。

だけど、ピンチの中にこそチャンスあり!
ここでモンスターレフトと呼ばれる強烈な左ストレートで、ゴンサレスを鮮烈にKOしました。
このKOシーンはダイジェストで観たのですが、本当に鳥肌が立ちました。

以来、西岡の評価は一気に世界的に高まっていきました。

指名試合でランクNo.1のムンローをほぼフルマークでの完勝、聖地ラスベガスでのマルケスとの防衛戦。
間違いなく、世界規格のボクシングを見せてくれる日本人ボクサーでした。

その彼が最後に選んだ相手は、対戦を熱望した「ノニト・ドネア」
フィリピンの閃光の異名をとる彼は、軽量級では間違いなく現役最強にして最大のスーパースターです。

恐らく軽量級の殆どのボクサーは彼との対戦を熱望するでしょう。
そんな彼とベガスで試合をする。これだけでもとんでもないことで、試合が決まった瞬間は本当に興奮しました。

結果はドネアが1枚も2枚も上手で、西岡の完敗でしたが、終盤勝負とあくまで勝利を目指した西岡も立派だったと思います。

ボクシングは拳を交えるスポーツだ!

日本のマスゴミは面白おかしく亀田なんかのしょうもないコメントばかり掲載して、「嗚呼ボクシングって野蛮なスポーツなんだな」ってイメージを下げることばかりしている。

だけど、この試合、対戦を熱望した西岡は勿論、親日家でも知られるドネアも「西岡はこの階級で最強」と常に彼をリスペクトしていました。

更に再放送で試合も観たのですが(生中継はキャッツアイを観劇していたので。。)、終了後にドネアと西岡は何回もお互いを称えて、さらにドネアが西岡サイドにかけよって、日本語で「アリガトウ」と言っていました。

敗れて尚、清々しい顔をしていた西岡を含めて、これがボクシングなんだよ!
って改めて思いました。


西岡は恐らく引退するという。
年齢的なことを考えても、一昨日のタイトルマッチのあまりの大きさとその後のモチベーションを考えても、それがベストなんじゃないかと思います。

最強のチャンピオンと最高の舞台で撃ち合い、壮絶に散る。
誰もが望んでも、誰もが手にする事ができる訳ではない、最高の最後!!

だから負けて尚、西岡のキャリアは輝き続けると思います。

ボク達の本物のボクシングを見せてくれた西岡には本当にありがとうといいたい。
そして、そんな西岡に最高の花道を作ってくれた、ドネアにも感謝したい。
彼にはアジアの誇りとして、これからさらなる伝説を作って欲しい。

そして、今日本人にもいいチャンプは沢山います。(だから亀田はちゃうと思いますが)
彼らが西岡に続いてくれることを切に願います。