四月宣言〜そして音楽が始まる〜

いよいよ新生℃-uteとして最初のツアー「ショッキングLIVE」が始まります。ツアーの中核を担うであろう5thアルバムのレビュー、今回は後編です。ツアーが始まる前にやはり、この曲について触れておこうと思います。

ショッキング5(初回限定盤)(DVD付)

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前編⇒ショッキング5〜2つの℃-ute〜

四月宣言

弦を擦る音、アコースティックギターの音色、Dragon Ashの名曲「Life goes on」を思わせるメロウなメロディライン、イントロを聴いただけで、一目惚れならぬ、「一聴き惚れ」をしてしまいました。その曲とは、℃-ute 5thアルバム8曲目に納められている「四月宣言」です。

アコギが奏でる温かみのあるメロディに5人の歌声が溶け込む事で醸し出される春の日溜まりのような優しい雰囲気は、℃-uteの魅力を最大限に引き出されているな、と感じます。更に今アルバムの特徴でもある、5人によるハーモニーを基本としながらも、Bメロでは℃-uteの王道とも言うべく全員ソロパートも復活しています。やっぱり℃-uteはまず5人の個性的な歌声ありきなんだ!!調和と個の両立は、℃-uteの今後の楽曲の方向性を示しているんじゃないかと思います。
でも、やはりこの曲の素晴らしさは歌詞にあると思います。

元気だよ
今はすっかり元気だよ
あのころは
ま ちょっぴり心配かけた
この冒頭のフレーズに代表されるように、全編通して誰かに語りかけるような歌詞になっています。
四月という始まりの季節に、もう大丈夫!とすっかり元気になって未来へ向けて力強く歩み出す主人公を℃-uteが清々しく歌いあげています。
この曲について、特典DVDの中で愛理が「元気づけられる曲。応援ソングっていうか何か分からないんですけど・・・」と語っています。なるほど、元気付けられるという意味では応援歌なのかもしれませんが、でも、この曲には応援歌特有の「頑張り」の押し付けが全く感じられません。
何と言うかとても自然なんです。そういった意味で愛理のコメントはこの曲の核心を突いている気がいます。
そして、自然な理由、それは、この歌詞を語る曲中の主人公は紛れもなく℃-ute自身だからなんだと思います。℃-uteの境遇や想いを投影したかのような歌詞が随所に散りばめられていますが、中でも印象的なのがサビのフレーズです、

諦めない 途中で曲げない
いつまでも 初心忘れない
時間と言う 貴重なものを
無駄にはしたくない
さぁ 行くよ 未来へ

このフレーズを聴いた瞬間、ブワッっと涙がこみ上げてきました。
多分これがまんま今の彼女達の気持なんだろうなぁって。

この曲がもし応援歌であるなら、「四月宣言」のタイトルを翳すように、四月という新しい季節に、再びスタートを切ろうとしている℃-uteに向けてつんくが贈った応援歌なんじゃないかと思います。


この曲を語る上で欠かせないのは、特典DVDに納められているPVだと思います。穏やかな笑顔を携えて、5人で時にはアイコンタクトをとりながら楽しそうに歌ってる様は、曲の世界観そのままに温かな雰囲気が伝わってきます。
「さぁゆくよ未来へ」と、力強く前を指差すシーンには胸がググッときます。






やっぱり5人の笑顔って、自分にとっては特別なもんです。

そして、5人が語りかけるような感じで、まるでビデオレターのようですよね!!

スクリーン越しに彼女達が語りかけている相手は誰なんだろう?何て考えてしまいます。
それは、勿論、一人一人のリスナーだと思います。また、「エール」をくれたファンに対してなんだと思います。
そして梅さん、栞菜、めぐなんじゃないかなぁなんて思ってしまいます

このアルバムで開拓したメロウな新境地の完成形とも言うべき楽曲に、今の℃-uteの想いが詰った歌詞、紛れもない名曲です。
少なくとも自分にとって新しい℃-uteはこの曲から始まる、そう思わせてくれる1曲です。

暑中お見舞い申し上げます(H22 Remix)

アイドルポップとテクノの融合という、一時結構流行ったコラボレーションですが、個人的にはかなり好きです。アルバムに1曲くらいこういう遊びがあってもいいなって思います。

総括

相変わらずシングルの配置が無計画なのは残念ですが、特に今回のような曲の系統をある程度揃えてきているアルバムでは、仕方ない面もあると思います。舞美嬢やなっきぃが新境地を見せてくれたソロトラックも勿論良かったのですが、やはりこのアルバムの一番の魅力は℃-uteのメロウな新境地を感じられるところじゃないかと思います。
ロックチューンや、ビートの洪水を降らせてノリのいい楽曲を入れてアルバムのバランスを取るのはそう難しいことではないと思います。でも今回は敢えてそれをやらなかったんじゃないかと思います。「四月宣言」の歌詞にもあるように「初心を忘れずに」。
彼女達はまずは歌手であり、そうであるなら、まずはしっかりと「歌」を届けよう!
このアルバムからは作り手のそんな思いが伝わってきます。

ミディアムなメロディにじっくりと耳を傾けると、彼女達の個性的な、そして成長した歌声が聴こえてきませんか?