ありがとう、ミスターアントラーズ

鹿島アントラーズ本田泰人主将が引退を決断した。鹿島一筋14年、その闘争心剥き出しのプレーで数々のタイトルをもたらしてくれた彼に、まずはありがとう、と言いたい。
94年にブラジルがW杯を制覇してからしばらく続いたドイスボランチ全盛の時代。もちろんJリーグもその例に漏れず2強時代を築き上げた鹿島にはジョルジーニョと本田、ジュビロにはドゥンガと福西という強烈なドイスボランチを形成していた。そんな鹿島黄金期ににジョルジーニョは卓越した技術で、ゲームをコントロールし、そして本田は熱いスピリッツをチームに注入し続けてくれた。
Jリーグも10数年の歴史を重ねて、ミスターと呼ばれた各チームの顔たちが戦いの舞台から去り始めている。ミスターレッズ福田正博ミスターマリノス井原正巳、昨年はミスターエスパルス沢登正朗もJの舞台から去った。彼らほどの個性的は選手が去ってしまうのはなんとも寂しい。もちろん選手はいつかは戦いの舞台から去る時がくる。ベテランを蔑ろにし、半ば宝くじを買うかのように若手に期待を託し、毎年下位に低迷するチームは論外だが、レッズ、マリノスエスパルスにしても彼らが去った後しっかりとした結果を残している。そういった意味ではこれは悲しむべきことではないのかもしれない。しかし一方で、サポーター皆から愛されるミスターと呼ばれる存在が現れていないのも現実だ。上位チームは優勝争いをする為に即戦力となる選手を補強し、生え抜きの選手が育ちにくい今の土壌では仕方ないのかもしれない。世界的にみても、生え抜きでずっと同じチームで活躍しているのは、パオロ・マルディニ(ミラン)、ラウル・ゴンザレス(レアル)、ライアン・ギグス(マンチェスターU)、アレッサンドロ・デルピエロ(ユヴェントス)、フランチェスコ・トッティ(ローマ)と数えるほどしかいない。そういった中で今年エスパルス沢登の後継者たる、藤本淳吾を手に入れることができたのはチームにとってもファンにとっても本当にハッピーなことだったと思う。
さて鹿島も次のミスターとなり得る選手はいるか?このチームは伝統的に生え抜きを育てるのが非常に上手いので、その土壌は十分にある。移籍さえなければ小笠原がその地位についていたのだろうが、今はその小笠原の後継者と目される野沢拓也に期待したい。地元出身の鹿島ユース育ち。このバックボーンに加えて、他の追随を許さない圧倒的な技術、彼が攻撃を牽引し、ミスターアントラーズの称号を手に入れる時、それは強豪鹿島アントラーズの復活をも意味する。本田泰人の後を継ぐ、ミスターアントラーズの登場に期待したい。
さて、本日ジュビロ磐田がミスタージュビロ中山雅史と来季の契約合意に至ったらしい。ミスタージュビロに敬意を払うと共に、その老練なテクニックと相対する鹿守備陣との対決を楽しみに来年もスタンドに脚を運ぶ楽しみが増えた。

まずは眼前の天皇杯鹿島アントラーズに、そして本田泰人に10個目のタイトルをもたらして有終の美を飾って欲しい。
あ、舞美嬢に1点入れられた。。。